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辻村 憲雄
Radioisotopes, 69(8), p.253 - 261, 2020/08
1958年7月、海上保安庁の測量船「拓洋」は、赤道海域に向かう途中で、米国がビキニ環礁で実施した水爆実験によって発生した核実験フォールアウトに遭遇した。当時船上で採取した雨水から観測された全放射能及び甲板に設置したNaI(Tl)シンチレーション検出器の計数率並びに計算シミュレーションの結果を基に、その単位面積当たりの全放射能を2.0TBq/km、外部被ばくによる実効線量を100Svに満たないと推定した。
辻村 憲雄
Isotope News, (768), p.38 - 39, 2020/04
195060年代の大気圏中核実験に関連して我が国で観測された雨水中全放射能について、その最大観測がなされた時期について解説する。
辻村 憲雄
保健物理(インターネット), 54(4), P. 205, 2019/12
保健物理54巻1号4044頁に掲載された論文「1954年に日本各地で観測された雨水中全放射能の再検討」について誤りを訂正する。
辻村 憲雄
Isotope News, (763), p.42 - 43, 2019/06
核実験フォールアウトによる雨水中全放射能の観測値が、1960年代に、放射能対策暫定指標として様々なフォールアウト対策に利用された経緯について解説する。
辻村 憲雄
保健物理(インターネット), 54(1), p.40 - 44, 2019/03
1954年のビキニ核実験を機に国内で始まった雨水中全放射能の観測は長い歴史を持っているが、初期の観測と現在の観測とでは、雨水試料の採取方法が大きく異なる。そこで、新旧の観測値を直接比較することを目的に、1954年のビキニ水爆実験のときの観測値を例に、現在の方法での値への換算を行った。その結果、1954年5月に京都で観測された雨水中全放射能は、1L当たり1,800Bq及び1km当たり11,000MBqとなり、1966年12月の中華人民共和国の核実験後に国内で観測された過去最大値の10分の1未満であった。
Tkalin, A. V.*; Lishavskaya, T. S.*; Belan, T. A.*; Karasev, E. V.*; 外川 織彦
Pacific Oceanography, 1(1), p.42 - 52, 2003/08
ロシア極東水理気象研究所では、日本,韓国及び米国の研究機関と協力して、沿岸域を含む北西太平洋縁辺海における海洋環境汚染に関する広範な調査研究を実施している。ここでは、オホーツク海及び日本海で実施した調査研究の成果のいくつかを紹介する。本論文は、(1)サハリン島陸棚における調査,(2)日本海における放射能調査,(3)ペーター大帝湾における放射能調査、という3つの部分で構成され、原研は(2)の部分の海洋調査,放射能分析及びデータ解析に参加した。原研と極東水理気象研究所が協力して実施した19992000年日本海海洋調査の結果によると、海水及び海底土試料における線放出核種,Sr-90及びPu-239, 240の放射能濃度は低く、地球規模の大気フォールアウトに起因していると考えられる。これらの調査航海で得られたデータは、ほかの研究グループによって過去に実施された調査研究の結果と同程度であった。
圓尾 好宏; 渡辺 均; 武石 稔; 宮河 直人; 今泉 謙二; 竹安 正則; 中野 政尚
JNC TN8440 2001-011, 146 Pages, 2001/06
東海事業所では、「核燃料サイクル開発機構東海事業所再処理施設保安規定、第IV編 環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2000年4月から2001年3月までの間に実施した環境モニタリングの結果及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量当量算出結果を取りまとめたものである。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況の内訳等については付録として収録した。
篠原 邦彦; 片桐 裕実; 宮河 直人; 渡辺 均; 清水 武彦; 叶野 豊; 今泉 謙二
JNC TN8440 2001-004, 62 Pages, 2001/02
平成11年9月30日10:35頃に発生した、株式会社ジェー・シー・オー(JCO)東海事業所の臨界事故対応については、サイクル機構では同日12:35頃に本社と東海事業所の合同で「サイクル機構対策本部」を設置し、同年10月12日に本部業務「JCO臨界事故対策・調査支援会議」及び通常のライン業務に移行するまでの間、各事業所の協力のもと国・関係自治体・JCOに対し人的・物的・技術的な支援を行った。本報告は、JCO臨界事故対応として国及び自治体等からの要請に基づき、平成11年9月30日11月2日にサイクル機構が実施した、環境モニタリング結果について取りまとめたものである。
木名瀬 栄; 河合 勝雄; 岡田 寿光*; 白石 明美; 大井 義弘; 水下 誠一
Health Physics, 76(4), p.443 - 444, 1999/04
本報告は、過去の大気圏核実験やチェルノブイリ事故によるフォールアウト放射性セシウムの人体内負荷量影響及びその見掛けの半減期、日本人成人男子の体内放射性セシウムの実効半減期について、原研の精密型全身カウンタ(我が国最初の全身カウンタである)を用い、測定調査した結果を述べるものである。
松永 武; 上野 隆; R.Chandradjith*; 天野 光; 奥村 稔*; 橋谷 博*
Chemosphere, 39(2), p.269 - 283, 1999/00
被引用回数:13 パーセンタイル:34.68(Environmental Sciences)湖底堆積物へのグローバルフォールアウトCs並びに農薬起源の水銀の流入フラックスの解析を行った。対象地域は島根県斐伊川河口に位置する宍道湖と中海である。1954年以来のグローバルフォールアウトCsの地表面降下量データと年代付けした堆積物中Csの堆積量の解析から、1)地表面土壌浸食に伴う流入、2)湖水面への降下分の保持量、3)湖からの流出量の3つのフラックスを評価した。水銀については、流域農地における使用量推定値から湖底への蓄積割合を評価した。本研究により、地表面の汚染物質は、その土壌への供給が停止した後であっても、土壌浸食に伴い蓄積成分が流入する過程を通じ、表面水系に長期的汚染をもたらすことが示された。
柳瀬 信之; 松永 武; 天野 光; 磯部 博志; 佐藤 努
Proc. of 7th Int. Conf. on Radioactive Waste Management and Environmental Remediation (ICEM'99)(CD-ROM), 6 Pages, 1999/00
チェルノブイル事故炉の周辺土壌中には多くのホットパーティクル(HP)が存在し、人へ放射線被曝を与える放射能汚染の源となっている。それゆえHPの性質と環境中での分布を明らかにすることは、HPから溶出した放射性核種の移行挙動の予測と汚染地域の除染を行ううえで重要である。そこでチェルノブイル周辺の土壌、フォールアウト試料及び河川や湖の浮遊物を採取し、トラック法、線スペクトロメトリー、選択的抽出法、X線回折法により分析した。土壌中では放射線核種の大部分は表層10cmに存在した。事故炉から北方の森林土壌ではHPを検出でき、土壌中放射能の半分以上がHPに存在した。一方、南方の土壌、フォールアウト試料及び河川の浮遊物ではHPを検出できなかった。これらの試料では放射線核種の大部分が有機物や鉱物に吸着していると考えられる。
上野 隆; 天野 光; R.L.R.Chandrajith*; 奥村 稔*
The Fate of Mercury in Gold Mining and Measures to Control the Evironmental Pollution in Various Con, 0(0), p.52 - 60, 1996/11
原子力の平和利用及び環境安全評価の観点から、環境中の放射性核種のみならず安定元素(重金属・有害元素等)についても、リスクを同等に評価することが必要である。また、湖沼は流域からの移行を反映して堆積物中に汚染等の歴史を残すため汚染調査の面からも解析が重要である。これらの研究に至るステップとして3つの湖底堆積物中の放射性核種及び水銀の鉛直分布を求めた。また、Pb-210を用いて堆積速度を求め、堆積物各層の年代を測定した。その結果、フォールアウト核種であるCs-137及び水銀の濃度にピークがみられ、その年代から、Cs-137については、地表面蓄積量のピーク年代と一致すること、水銀については1950から1960年代に広く使用された水銀を含む農薬の使用による影響が示唆された。このように湖底堆積物は流域の環境の状況を反映しており、環境モニタリングにおいて重要な測定対象であることが明らかになった。
樋口 英雄*
PNC TJ1309 96-001, 113 Pages, 1996/03
本報告は、本邦での核燃料サイクル施設の本格的稼働を間近に控えたこの時期において、核燃料サイクルとも関連した環境中の長半減期放射性核種の分析法並びにそれらのレベルを調査した結果をとりまとめたものである。本報告書は以下の項目の内容が記載されている。(1)トリチウム人体代謝モデルの検証に環境データを用いる際の問題点(2)二酸化炭素吸収剤を用いる環境中の14C測定法(3)99Tc分析のための95mTcトレーサーの製造(4)放射性降下物の最近の状況(5)環境試料中の241Pu分析(6)環境試料中の242、243、244Cm分析(7)線放射体測定のための収率トレーサー(8)クロスチェックについて
高橋 知之; 森澤 眞輔*; 井上 頼輝*
クロスオーバー研究シンポジウム,汚染物質の環境挙動予測に関する局地規模詳細モデルならびにその移行パラメータ, 0, p.134 - 142, 1995/00
水田環境における放射性核種の挙動を把握するため、大気圏内核実験等により大気中に放出されたフォールアウト放射性核種に関する環境モニタリングデータを用い、それらの米への移行に関する統計的解析を行った。その結果、核種沈着速度及び水田土壌中核種濃度を説明変数とする2変量回帰モデルが米中核種濃度の予測に有効であることを示すとともに、その回帰係数が既知のパラメータ値に近い値であること、玄米から白米への核種の分配率が核種や移行経路によって有意に異なること等の知見が得られた。
上野 馨*; 星 三千男
JAERI-M 93-161, 25 Pages, 1993/09
生活環境には、さまざまな放射性核種が存在する。このような放射性核種に関する授業は、原子力の置かれている状況を正しく把握するために役立つと考え、原子力総合研修センター原子炉研修部門で実施している一般過程において、生活環境の放射性核種というタイトルで講義が行われてきた。1993年、カリキュラムの改定により、この講義が発展的に解消したため、使用してきたテキストをもとに本報告が作成されたものである。内容は生活環境に見られる天然及び人工の放射性核種の由来とその濃度などである。
松永 武; 天野 光; 柳瀬 信之
Applied Geochemistry, 6(2), p.159 - 167, 1991/00
被引用回数:36 パーセンタイル:65.8(Geochemistry & Geophysics)河川流域における放射性核種の移行挙動を知る目的で、土壌に蓄積したフォールアウトのCsの河川による流出を研究した。茨城県の久慈川下流において、Csの河川水中の存在形態と流出放射能量を明らかにした。流域からのCsの年間流出量の経験式を導き、これを基に流域全体におけるCsの年間収支を推定した。その結果、Csの土壌中蓄積量は約4200MBq/kmと推定され、年間にその0.04%が河川に流出し、2.3%が放射性壊変で減少することを導いた。このことから、フォールアウトのCsは地表面土壌に長く残留して、ほぼその半減期で減少していくことが示された。河川による流出は流域収支の上では小さい。流出の形態としては土粒子等に吸着した懸濁態のCsが年間移行量の90%を占め、さらにまた降雨増水時の流出量が年間流出量全体を支配していることが明らかとなつた。
Malinauskas, A. P.*; Buchanan, J. R.*; Lorenz, R. A.*; 山下 利之
Mech.Eng., 109(2), p.50 - 53, 1987/02
1986年4月26日に発生したソ連チェルノブイリ原子力発電所第4号機の爆発事故に関して、その原因、経過、結末を、主として、1986年8月25日からウィーンのIAEAで行われたソ連の報告討論会で得られた情報資料をもとに解説した。本事故は、不充分な実験計画を無認可で行ったことにより生じた、いくつかのありそうもない事象の組み合わせによって発生したと報告された。また、欧州諸国から得られたフォールアウトの放射能測定データの解析がORNLで独自に進められた。これより、事故直後の放出物は破砕燃料微粒子を多く含み、主として、スカンジナビア半島方面に運ばれた。一方、欧州西部方面に運ばれた放出物中には、ルテニウム、モリブデン、テルルが多く含まれており、酸化性雰囲気下での放出が考えられる。
笠井 篤
保健物理, 20, p.79 - 83, 1985/00
国連科学委員会は1982年に報告書を公刊した。その後次の報告書を1987年に公刊する予定で検討を始めた。その検討の内容を今までに開催された2回の検討会を中心に、紹介した。
笠井 篤; 今井 利夫; 関根 敬一
Health Physics, 46(1), p.214 - 217, 1984/00
核爆発実験によって生じたフォールアウトプルトニウムの東海村における大気中濃度と降下量を1975年から連続して測定している。そのデータをまとめ、プルトニウムの大気中濃度と降下量の季節変動を明らかにした。また1960年代前半にさかのぼって、Sr大気中濃度からプルトニウム濃度を推定した。一方それらの大気中のプルトニウム濃度から人の呼吸によって与える被曝線量を2000年までの線量預託として推定した。
天野 光; 笠井 篤
保健物理, 16(2), p.99 - 103, 1981/00
宇宙線生成核種であるBeの地表面大気中濃度および降下量を1975年5月~1977年12月の間東海村において測定し、結果を考察した。 東海村における地表面大気中Be濃度は、観測した期間でほぼ(0.5~2.0)10pCi/mの範囲であった。Be降下量の変動は大きく〔0.03(検出限界)~12〕10pCi/mで、どちらもフォールアウト各種とは必ずしも同じではない季節変動が観測された。Be降下量は雨量に大きく依存することが明らかとなった。また雨水中Be濃度は、観測した期間1976年9月~1977年2月で9.2~190pCi/lの範囲であった。